PARTY REPORT 2005/07/15
KENNY LARKIN
"The Chronicles 1992-1997" Release Tour in Japan

書を捨てよ、宇宙に出よう
featuring Kenny Larkin @ YELLOW


REPORTER: KOZUKA
PHOTO: YUKO(YELLOW)
ハウス好きでも全然OKな選曲です
"I feel love"を聴いたら自然と踊ってしまうでしょ

“Eat、Sit、Techno!”―去年5月に行ったデトロイトのフェス、"MOVEMENT"の最終日UNDERGROUNDステージで拾った小さなフライヤーに書かれていた言葉を思い出す。恐らく街のどこかで開かれる予定の小さなパーティーのものだったのだろうけど、すっごくイイ台詞だと思った。
 残念だけどそのフライヤー、失くしちゃって今はもう手元にない。
まぁ、軽く訳せば『喰って、クソして、テクノ聴く』てな感じなのかな?
 そうそう、テクノに限らずダンス・ミュージックって、確かに‘食う’と‘うんこする’と同列に並ぶくらい人間の本能的欲求に根ざしているとわたしは思う。
そう考えると、わたしにとってのDANCE MUSICって、“SEX”に置き換えられちゃうかもしれない。
 『食欲・性欲・睡眠欲』→ならぬ、
 『食欲・MUSIC・睡眠欲』ってね!!
 高校時代、Techno聴いて夢精しちゃう男のひとがいるって先輩から聞いてビビってたわたしだけど、オトナ♪になった今ではなんだかそれも分かる気がするなー、あはーん♪
―おっと!まあまあ そんなおしもの話題はこのへんまでにしておいて、今回は前述の“MOVEMENT”にも出演を果たした、デトロイト第2世代、Kenny Larkinがゲストのパーティー、リポートしてきちゃいました。
 てなわけで昼間のアスファルトの熱を吸収するかのごとくほのかに火照る大気に後押しされて、頭上に広がる7月のそらの下、去年共にデトロイト遠征をした、音楽をこよなく愛す戦友あき子と、いざ、YELLOWに突撃だ!!

* 先ずは2人ラウンジで杯を交わしつつ暫し、歓談。
スピーカーから洩れるトライバル・テクノをBGMに、ここぞとばかりあき子に恋愛指南を乞う。
 アレってどうなの?ソレってなんなの??
わたしの死活問題きわまりない怒涛の質問攻めに、あき子が半ばへとへとになりだしたころ、
 「Uh-I feel love, I feel love…♪」
メロウでセクシーな歌声が聴こえてきた―
こっ、これは!そう、アノ、曲!大定番のクラブ・アンセム、Donna Summerの“I feel love”だ。_
  にやり。
 大定番のクラブ・アンセムときたらこりゃもうフロアーへ行くしかない。
おとこ相談会を切り上げ、2人音の大海原にDIVEだー!!
そそくさと踊りうねるクラウドの海原を乗り越えるや見えてきたのはそう、今宵遥か銀河系への導き手、宇宙飛行士Kenny Larkin様々だ!
 さすが!ハリウッドお膝元のL.A.ご在住であるだけらっしゃる!
いつ見ても容姿端麗。星の王子様みたい♪
ぶっ!
 軽く鼻血を押さえつつあき子と2人ブース前を陣取りしばしビートをからだに刻む。
―Donnaのメロウでセクシーな歌声に♪♪♪
聴き覚えのあるシンセの音がかぶさってくる…。

!!っ。あれだ!もはや言わずもがな、のkiller tune、Aril Brikha “The Art Of Venese”だ。そうそうあの上昇系テック・ハウスで御座います。
 そういえば去年デトロイトのMOVEMENTでこの曲、そこかしこのブースで5回は耳にしたゾ。それにしても客泣かせの展開だ、やばいネ!
―…さて、ここで一句。

ケニーさん 乙なプレイを ありがとう
クラバー心の俳句 悦っ!

*そうこうやっているうちにここから一気に上昇気流だ!

  ヴゅん ヴゅんんっ
突き刺さるハイハットがからだの重心を揺さぶる。
 逆毛立つ、からだのあちこち
 じわり、じわり…
 毛穴が音に侵入される。 
 カラダガ音ニ浸食サレル。
 Kennyの瞳に、犯される…。
 「Oh, ohhっ!」
 わたしに巻き付いて離れない南京錠は、ミキサーに向かうKennyのそのしなやかな手作業によってシュルリとやわらかに解き放たれた!
 Ecstasy…(エクスタシー…)

 ♪♪♪…音色に足をすくわれて、
 ふわり ふわりと浮かびゆく―。
 うごめく爆音。
ミラーボール煌めく暗いダンス・フロアーは、ゴオゴオとうねりをあげる、
変幻自在の時空の闇に変化する―。

飲み込まれていく人々
遥か何億光年もの彼方までとどく、真っ赤なストロボライトの閃光
ミラーボールに反転する鮮やかな光たちが漆黒の宇宙にまたたく―
 となりで肩を揺らす火星の人面像
 うしろで群れを成す小銀河
 M32(NGC221)☆
記憶が、一筋の光をなぞらえる―。
呼応しているのはもはや、実体のない“わたし”だ。
 スピーカーから放たれるKennyの旋律
 戦慄がフロアーを轟かす。
“GAHHっっ♪ GAHHっ♪ GAHH っつ、Uhhっ!○▲×★♪”
 暗闇に猿の如きうめき声がこだまする―。
そう、あのデトロイト・アンセム、Carl Craig作の“tresdemented”だ。
突き刺さる猿の雄叫び―
ほの白い煙に包まれる

“PANNNっっ…!”

そうしてわたしははじけ飛び、宇宙の塵となり、泡となった―。

*「おいっ、おいっ!」
 横に立つあき子に肩を叩かれてやっと目を覚ます。
おっと、いけない!悦楽にすっかり浸りきりで肝心なリポーターの仕事を忘れてしまっていた。フロアーの照明はもうすっかりあがってしまっている。
ま、まぶしい…。
胸に残るゆめの余韻にくらくらしつつ、帰り際のお客さんにかろうじて声をかける。

 「あのお、今日のKenny、どでした…?」

答えてくれたのは横浜在住のマコトさん(27)
とんがりハットの似合うさわやかな背の高い男性だ。
「いんやー、バキバキ。かなり良かった。すごいグルーブ感!」
にこり♪白い歯をのぞかせる。キラン☆
 なんでもマコトさん、もともとはHouseリスナーらしい。
そうそう、今日のパーティー、フライヤーにはテクノ・セットとあるけれどここに集まったお客さん、House Loversを名乗るひとがけっこう多かった。
わたしもダンス・ミュージックはHouseから入った。生音が色濃く取り込まれるハウスに比べて、テクノってバキバキしてて、電子機械音的な、無機的なイメージが強くてそういう音に対しては苦手意識があったけれどKennyをはじめデトロイトのテクノって、jazzyであたたかい要素もふんだんで、そんなわたしも入りやすかったから、喰わず嫌いなひとも抵抗なく聴ける感があると思う。

 「んじゃ、帰るか。」

イエローのスタッフが早く帰れと言わんばかりにせかせかとほうきを床になでつけている。仕方ない。
まだ酔いの醒めないフロアーに名残惜しさを感じつつ、あき子とフロアーを後にしようとした、そのとき!ふいに後ろを振り返ると、仕事を終えたKenny様がブース から出てくるではありませんか―!
にやり。
あき子と目を合わせる。
ううーん、これはまたとないチャンス!
強行突破でKennyに直撃インタヴューを敢行だ!
「Excuse me!」
「今日の感想をひとつ!」
駆け寄りつつ質問をなげかける。
すると目を細め、気高い笑みをたたえて答えてくれた。
「YELLOW IS FANTASTIC!」
おおおー!さすがデトロイトの雄、こんなじゃりたれリポーターにも寛容でらっしゃる。やさしい!あぁ、ありがたや、ありがたや…。
 さらにもうひとつ質問。
「ダンス・ミュージックをどう捉えてますか?」

 「Dance Music is UNIVERSAL!!」
(ダンス・ミュージックはユニバーサルさ!)
 「Because everyone likes it.」
(なぜなら皆好きだから、嫌いなひとは少ないから。)
だって―!
素敵なお返事をどうもThank you very much!

*ガタン、ゴトン…
“Dance Music is UNIVERSAL…”×3。
あき子と別れ帰りの電車の中Kennyの残したこのことばを噛み締める。
ダンス・ミュージックはユニバーサルかぁ。。。
ふむふむ。
―UNIVERSALって、‘全世界の’とか、‘万人に通じる’って意味があるらしい。
おまけに“宇宙の”って意味も!
そういえばデトロイトが語られるとき、なにかと宇宙がフィーチャーされるよね。
今年のRemix4月号はデトロイト特集が前面に押し出されてたけど、表紙のデザインは、宇宙の銀河を彷彿とさせるものだった。
 デトロイトのアーティストに限らず、創作活動やその作品において宇宙を引き合いに出す芸術家は意外と多い。
たとえば、映像作家の宇川直弘とか、奇抜な画風で有名な画家の横尾忠則とか…。
雑誌とか本にそういうコメントが載ってたんだ。
 言わずもがな、の大人気DJ、デトロイト・オリジネイターのひとり、Derrick Mayがどこかの本で言っていたっけ、
「デトロイトは貧しい街で、享受できる文化的娯楽に乏しいからみんな家に篭もってイマジネーションを有効活用して遊ぶしかなかったんだ」みたいなことを。
 確かに去年行ったデトロイト市街地の風景は淋しいものだった。廃墟と化したビルがたくさんあって、今にも中から泣き声が聞こえてきそうだった。
 ―彼らのイマジネーションは、あそこで育まれたのか…。
 Imagination(想像力)。
あと、デトロイトってなぜあんなに宇宙が引き合いに出されて語られるんだろう。
 Universe(宇宙)。
 なんとなくだけど、それって、きっと、イマジネーションの世界が、宇宙にちょっと似てるからじゃないかな。
 ほら、想像することに際限はないでしょ、わたしたちは、感じたり、考えたり、空想したりするとき、あたまを使うけど、おもしろいなぁ、脳みそっていう空間に閉じ込められていながら想像の世界に限りはなくて、自分でどんどんひろげていける。
 ――宇宙も、広がり続けているんだって。ビッグ・バン以来、ずっと膨張してるんだって。
 宇宙とイマジネーション、無限の広がりを見せるって点で似てない?
 暗いダンス・フロアーで言葉も忘れて時間も忘れて音に身を委ねているとき、わたしは自分のあたまの中を泳いでいる。
 これぞまさに、宇宙遊泳?
 宇宙は無限じゃない。有限だ。とか収縮するって説もあるみたいだけど、科学じゃ到底解明のつかない、未知なる領域って点では、まだイマジネーションに似ている。
   “未知”―そのことばは、無限とも思える可能性を感じさせる。
 「ホアン、音楽の未来が見えたよ!」
 どこかで読んだ、Derrick May 若き日のことばが脳裏をよぎる―。
 「想像して、創造する」―芸術家たちの、創造力や、インスピレーションって、きっと宇宙からの贈り物なのかな?      
 そう考えるとなんだかロマンチックだわ♪
 宇宙って一体なんなんだろう、きっと何かあるよ。芸術家だけでなくて、座禅の世界でフィーチャーされたり、哲学者が唱えたりもしてるし。
 そうだよね、だってビッグ・バンがあって、宇宙が始まらなければわたしたちの存在はないし、こうして素敵な音楽を聴いていられないもんね。
 わたしたちのこのからだだって、宇宙の星屑からできている―。

*ところで、YELLOW MAG7月号をご覧になった方はいらっしゃいますか?
 宇宙とドラえもんのどこでもドアを背景に女性が笑っている絵だったと思う。
――YELLOWの正式名称は“SPACE LAB YELLOW”。
日本語にすると、『宇宙空間 実験室・YELLOW』。
 そうそうYELLOWの扉を開いたならそこはもう、YELLOW宇宙センターだ。
煌めく星々たち踊る、ダンス・フロアーに足を踏み入れたなら、
そこからぼく達はもう、
内的宇宙の冒険者だ。

都会の喧騒に疲れたなら、職場の上司にうんざりなら、
YELLOW宇宙センターの扉を叩いてみよう。
そして、一緒に果てない宇宙の旅へ出かけよう―。

 Let’s get FREEDOM!!
 さぁ、行くぞ!

2005年 7月某日