PARTY REPORT 2005/07/09
"EMMA HOUSE Live at Yellow, Tokyo"

Live recorded at EMMAHOUSE, Yellow
on Saturday, 9th July, 2005

『EMMAHOUSE』最新作は正真正銘のライブミックス盤!去る7月の第2土曜日、いつも通り開催された"EMMAHOUSE"にて、密かにライブ録音が実行されたのです。一発録りのこのMIX CD、めでたく9月14日にリリース決定!今まで以上に、お家で"EMMAHOUSE"な気分をリアルに味わえる『EMMA HOUSE Live at Yellow, Tokyo』が完成しました。
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EMMAHOUSEのフロントアクトも務めるDJ TOMONOによる『EMMA HOUSE Live at Yellow, Tokyo』全曲解説リコメンド!

Writer Profile: DJ TOMONO
EMMA氏の影響を受け95年にDJをスタート。渋谷MODULEで行われていたレギュラーパーティー"THE RADICAL ROCKERS"終了後、西麻布YELLOWで行われているBIG PARTY"EMMA HOUSE"のフロントアクトを務めるなど都内を中心に活躍中。カットアップされたFUNKY BEATとアップリフトなDISCO TRACKを軸としたプレースタイルに注目!!!
01 "One Eye Shut" Robbie Rivera featuring Laura Vane
記念すべき第1曲目!!今までの流れだとインパクトのある歌モノが多かった『EMMA HOUSE』シリーズですが、今回は"LIVE"という事も有り、いきなり強烈なフィルタートラックから旅が始まります!!極太でグルーヴ感タップリなフィルタートラックにソウルフルな女性ヴォイスで勢いよく飛ばす強烈なRobbie Riveraによる渾身作!!![24 Seven]からリリースされていた3部作のうちの2枚目"Superchombo & DJ Pedro Remix"を収録。

02 "The Fruits" -Tom Novy Club Remix- Sander Kleinenberg
EMMA氏お気に入りのレーベル[Little Mountain]の中でも一際輝くSander Kleinenbergの作品。エレクトロテイストなシンセラインとブリブリなベースライン、ブレイクで放たれる変態シンセでフロアーは早くも爆発寸前!!!!

03 "516 Acid" -Original- Wink
しかし、まだまだ焦らします。ベテランJosh Winkが放ったハードビートにTB-303が狂ったように襲いかかる初期CHICAGOを彷彿とさせるOLD SCHOOL AICD TRAXにEMMA氏のイコライジングときたら鬼に金棒!!!! これにはさすがに発狂!!!!!

04 "Now Listen" -The Original Mix- Mango & Terry
ここで来ましたイタリア産、無名のダークホースMango & Terryによる「Now Listen」!!エレディスコ&極太ベースのフィルタートラックにOLD SCHOOL調なラップ・ヴォイス・サンプリングが炸裂、そして後半に行くにつれグルーヴ感タップリなシンセがビルドアップしていく正にフロアーキラーチューン!!!!

05 "Nolas Scream" Greg Churchill
当時EMMA氏がヘビープレイしていた「Body Slander」に続くGreg Churchillによる超話題作!!Darren Emerson率いる[Underwater]からリリースされているこの曲はウネリまくるベース&ミニマルテイストなハットとエレクトリックシンセで飛ばすドラッギーな作品。"Oh, Yeah~"のヴォイス・サンプリングが印象的。

06 "Sexy Queen" Smog
ファンキーに弾けるディスコ調なベースラインに細かく刻む吐息まじりな喘ぎ声は"Sexy Queen"の名に相応しい。しかしながら詳細不明なイタリアStop & Goからリリース予定のプロモ盤。まだ世に広まっていないこういった曲を収録しちゃう辺りはさすがです!!現場の雰囲気をタップリ味わえる正に"Live Mix"ならではの1曲。

07 "PVC" -Eric Prydz Remix- Star Alliance
Star Allianceのヒット曲「PVC」を、「Call On Me」という大ヒット曲を世に送り込んだヒットメーカーEric PrydzがREMIX!!ブレイクでのヴォイス・サンプリングと高揚感タップリなシンセが壮大に広がりそこから打ち出されるファンキーなフィルタートラックでフロアーの状態は爆発寸前・・・もはや我慢の限界・・・

08 "Soul Roots" -Pianohouse Mix- Edward's World
ジワジワと絡んできたこのピアノフレーズは!?遂に来ました----!!EMMA氏の十八番(オハコ)とも言えるピアノトラック!!!1994年芝浦GOLD時代からピークタイムにEMMA氏がプレイしまくっていた元祖ピアノハウスEdward's World 「Soul Roots」!!!新旧問わずプレイするEMMA氏のスタイルは正にLiveでしか味わえないでしょう。Marshall Jefferson 「Move Your Body」のこの怒涛のピアノでフロアーはたちまち狂喜の渦に!!!

09 "Small Circle Of Friends" -DJ Fist Madness Remix- TJM
そのままの勢いで新たに展開していく9曲目に抜擢された曲はフランスの人気レーベル[Ambassade]からリリースされたTJMによるファンキー・トライバルハウス!!!前曲からの流れを保ちつつ新たな展開に持っていくミックスワークはさすが。BATUCADA風なパーカションにグルーヴ感タップリなベースに激しく絡むヴォイスが炸裂するアップリフトなトライバルトラックを右へ左へ飛ばしまくってます!!

10 "Bang!" Santos
イタリアの暴れ馬Santosによる人気シリーズ"Shakadelic Drums"シリーズVol.2!トライバルハウスと言えばこのレーベル、フランス[Royal Drums]からリリースされた大人気なこの曲はパーカションの効いたアフリカントライバルトラックに民族調なヴォイス・サンプリングとSUENO LATINOノリな上音が絡んでくるEMMA HOUSEではすっかりお馴染みの1曲!!とにかく盛上がり方が尋常では無い・・・。

11 "Vanilla" Marko Nastic
アフリカントライバルの流れから更に勢いづくパンチの効いたテックトライバルにスイッチ!!CAVEやRECYCLED LOOPS系なノリのファンキーでグルーヴ感のあるテックトライバルトラックにクールなACIDシンセが鳴り響く作品。Marko Nastic 『Hagendas Ice Cram Flavour』収録曲。

12 "So High" -Original- Misjah
今やテクノ、ハウス問わず大人気なMisjahによる重量感タップリでファンキーなハードトラック!! いかにもMisjahらしいハードでパーカッシヴなリズムにルーピングするヴォーカルフレーズ、そしてそこから絡んでくる攻撃的なシンセが一気に突き抜けていくファンキーテックトライバルチューン!!!!

13 "Gypsy Woman (She's Homeless)" -Meu Str Mix- Wall Five
前作George Kranz 「Din Da Da」をネタに使ったテックトラックをリリースしたCO-FUSIONのメンバーでご存知のテクノマスター"HEIGO TANI"氏による話題作!!!今回は何と!?Crystal Watersの名曲「Gypsy Woman」をネタに使った8月リリース予定のファンキーテックトラック!!この曲は既にプロモの段階でヘビープレイされているEMMA氏お気に入りの1曲!!!前作の「Din Da Da」ネタは勿論、Inner City 「Good Life」をネタにしたKilla Production 「Good Life」など、ハウス・クラシックスをネタにしたテクノトラックの中でも人気の高い作品です。

14 "I Feel Love" Antoine Clamaran
フランスのトライバルハウスレーベル[Congos]からヒットメーカーAntoine Clamaran(11/4(金)イエロー登場決定!)による『Different Drums』収録曲の「I Feel Love」。前曲「Gypsy Woman」の流れから、何とここでは前半のトライバル部分は殆ど使わず、シンセが絡んでくる中盤辺からMIXを始動するといったEMMA氏ならではの多彩なミックスワークを披露。その間約2分弱のショートミックスから一気にクライマックスへ・・・

15 "Sweet Amazing" -Malawi Rocks Remix- Sugiurumn
今回の旅を締めくくるのは、パーティ同様やはりこの曲Sugiurumn Ft. Lori Fineによる超大型話題作「Sweet Amazing」のEMMA氏&TARO KAWAUCHI氏によるユニットMALAWI ROCKSによるREMIXを収録!!旅の疲れを癒すかの様な幻想的なシンセのリフとヴォーカルLori Fineの覚醒的なヴォイスがフロアー全体を包み込むような優しい音色を醸し出すこの曲は、クラウド全員の胸の奥底に深く宿る事となるでしょう・・・。そして又、新たなる旅がここから始まろうとしている・・・。

「エンマハウスに期待と喝采を」
Writer Profile: TKD
「80年代後半よりDJとして下北沢ZOO、乃木坂DEEP、恵比寿MILKなどで活動。2000年、漫画原作者として『LAZREZ』『皆殺しのマリア』(エンターブレイン刊)を連載刊行。 わずかな原稿料を全て、どーでもいいモノで浪費している。かつて編集長と漫画家との打ち合わせで3時間遅れる……という快挙を達成。その事実を知った狩撫麻礼氏に首を締められ説教されるという快挙も後日達成。」
 7月9日の土曜日は台風だった。この夜の西麻布イエローは、毎月第2週に行われる「エンマハウス」だったが、ふだんとは少し違っていた。
 事前の告知は無かったが、エンマ君の12枚目になるミックスCD版『エンマハウス』の収録が行われるのだ。お客さんには知られることなく、通常の営業時間の中で、ノン・ストップ・ミックスを「一発」で「ライブ録音」するというもの。バンドで言う「一発録り」である。スタジオならば失敗しても録直しができるが、ライブのためやり直しはきかない。『エンマハウス』には今まで「ダンスフロアを真空パック」というコピーをつけていたが、今回はプレイとお客の歓声を盛り込み、箱の空気までそのまま真空パックする企画である。話を聞くには面白そうだが無謀である、また無謀であるがゆえに面白い話なのだが。
 水面下では関係各位はピリピリと緊張していた。ライブであるため、いつ不測の事態が起きるかわからない。「もしも」のトラブルに備えDJブースにはセキュリティが用意された。レコード会社の人間がエンマ君は緊張で「吐きそうだ」と伝えてくる。ダンスフロアに足を運ぶと八割方埋まっている。台風の為お客さんの足取りも鈍い。いつものフレンドリーな空気と違って、ピンと張りつめた重圧(プレッシャー)も感じる。フロントアクトのDJトモノ君がかけるレコードから「キャン・ユウ・フィール・イット」のフレーズが聞こえてくる。緊張の中で期待感だけが高まってくる…。

 エンマ君と知り合い15年以上の年月が経った。最初はニューウェーブのDJとして出会った。現在流行のスタイルとしてのニューウェーブでは無い。パンク以降の文字通り「新しい波」としてのニューウェーブだ。当時はちょうどセカンド・サマー・オブ・ラブの産声が聞こえてきた頃で、ハウス・ミュージックは「新しい波」として現れた。ハウス・パーティはノン・ファッションでノン・スタイルでノー・フォーム、「NO」はそのまま「フリー」に置き換えられる、決まり事は無い白黒黄の垣根も無い、音楽とダンスだけが朝まで昼まで続くだけだ。あまりにも自由なハウスのスタイルは、先行する音楽に対しカウンターにも見えたしラジカルにも捉えられた。アンダーグラウンドでグラマラスでディープで、新しい大きな波のように思えた。多くのDJがハウス・ミュージックに惹かれていったように、エンマ君もハウスの持つ可能性に惹かれていき、ウェア・ハウス・パーティに参加するようになる。
 三宿のデニーズでよく話し合っていた。ハウス・ミュージックならばジャンルやアーティスト幻想に振り回されないでDJができる、純粋に音楽を伝えられるのではないかと。ハウスならアフリカもロックもソウルもアンビエントもジャズもテクノも、ジャンルにこだわらず、かけることができる。現在はハウスの中でも細分化したジャンル分けが行われている。それはレコード店やレーベルや音楽雑誌のビジネス上、仕方ない話かもしれない。しかしエンマ君はジャンルに留まることなく、ディープでもプログレッシブでもテック・ハウスでも、全てを呑み込む。ハウス・ミュージックをジャンルに縛られない自由なダンス・ミュージックとして捉えているからだと思う。
 それはまたラリー・レヴァンとパラダイス・ガラージの教えかもしれない。ぼくたちの世代でも既にラリーは伝説の人だった。ここだけの話エンマ君も最初は「伝説」に対し抵抗していた。しかし先輩のDJやガラージのクラウドだった人々たちとの交流の中で、ラリーの行ってきたこと、DJが一晩で作りあげる「ストーリー」や垣根の無いフリーダムな世界を知るにつれ、伝説は「リアル」なものへと変わっていった。現在もエンマ君がロング・プレイにこだわるのも、DJプレイで作ることができる「ストーリー」によるものだと思う。
 エンマ君が芝浦GOLDのレジデントDJになった時、朝方の閉店した店の前で、タクシーを待ちながら言ったことを覚えている。「明日死ぬかもれないんだよ?」 エンマ君はDJをする時はこれが最期のDJだと思ってやるというのだ。先日エンマ君にこのことを覚えているか聞くと、「いや〜、今でも思ってるんだよね〜。毎回思ってたら癖になっちゃったみたい」呑気な口調で返された。そう思うと諦めないDJができるらしい。DJをやっているとトンネルに入ってしまうことがある、自分も苦しいしお客さんも何だか辛そうに見える。そこで「諦めない」気持ちでいると必ず光が見えてくる。苦しい時間を共有し耐えた後の喜びは他のものには変えられない。
 お店には色んな背景を持ったお客さんがいる。調子のいい時もあれば、思わぬ災禍に見舞われる時もある。現実はいい時もあれば悪い時もある。ただ楽しいだけだと嘘だと思うと、エンマ君は言う。どんな辛い時があっても、みんなには諦めないでいてもらいたいし、自分はDJしかできないけれど、自分がDJをやっている時は、クラブにいる時間の中だけは、みんなに幸せな気持ちになってもらいたい。色んな思いや気持ちを乗り越えてこそ、フリーダムがあるんだと思いたい。エンマハウスにはエンマハウスの「ストーリー」があるのだと思った。

 さて、冒頭の期待感の続きだが、今サンプル盤のエンマハウスを聞き終わった。唸ってしまった。一つの完成された作品世界と、生の臨場感を両方兼ね備えた、陰と陽の混ざりあったエンマ・ワールドが作られている。とんでもないアルバムができあがったと、思った。
 いわゆるライブ盤という前印象を持つと間違えるかもしれない。オープニングから音の良さに驚かされる。音の豊かさに気づかされる、キックの丸みが気持ちいい。これはアナログレコードとカートリッジによって起こる倍音を、DSDレコーダーによって広いレンジで拾う技術によって可能になったものらしい。音響的な音の広がりと、ブリープ音やアシッドの反復によって知らず知らずにハマってしまう。ここでのオーディエンスの歓声は、まるで環境音のようにSE的にも聞こえる。しかも「ハマリ」の音なのに疾走感がある。音に持っていかれて、だんだん速く、駆り立てられていく。ハマっている状態に、今度はDJとオーディエンスの駆け引きが始まる。一曲一曲が、いや一音一音が真剣勝負。一呼吸、その息づかいのように、音の駆け引きが始まる。
 最初組み上げてきた選曲も、やはり現場で実際に目の前のお客さんを見てしまうと、その場で変わらざるを得なかったと言う。しかし、そこが面白い。一音、一曲に緊張感が潜む。現場のリアルな緊張感が説得力になる。オーディエンスの声もDJとの押し引きのように聞こえる。互いが互いを高め合って一体になっていく様が記録されている。
 また一枚のCDで、クラブに遊びに行って、ダンスフロアに足を踏み入れ、最初は違和感を持ちながらも、音と回りの環境に体が馴染んでいく様から、だんだんヒートアップしていき、知らず知らずのうちに音に反応して手が宙に上がっていき、声が上がる。ヴァーチャルなクラブ体験も味わえるのではないかと思う。

 最近のエンマ君は今までになく精力的になっている。CD『エンマハウス』にしても、今までのイメージを壊したいとまで言っている。エンマハウスが毎年一枚その年の記録のように慣例的に発表され、あたかもブランド化しているのが気に入らないらしい。一年一枚でなく、出せると思ったらすぐに出す、もったいぶらずにドンドン出して行って、エンマハウスが20枚まで行ったらギネスに申請すると、本気とも冗談ともつかぬことを言っている。世界記録のギネスワールドレコードのことだ。今はあれこれ悩まず、思いついたことを即実行できるようフットワークを軽くしているようだ。
「新しい大きな波が来そうだし」最近のレコードを聞いているとそんな予感があるみたい。はたしてサード・サマー・オブ・ラブが来るのかどうかわからないけれど、エンマ君とエンマハウスの動きは、何かをやらかしてくれる感じで楽しみだ。台風の夜に西麻布イエローで味わった緊張感とその成果であるCDのように、エンマ君は次の夜を期待させてくれる。みなさんも是非、パーティとCDの「エンマハウス」に期待と喝采を。ひとつよろしく。[文:TKD]