| 2004/12/31 |
COUNTDOWN TO 2005
わたしたちはこうしてお正月を迎えるのです物語
Text by Yuko&Makiko
Photo&Movie [2004.12.31.] by Yuko
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大晦日は不思議な一日です。
あれはパーティというより、イベントというより、なんだか祭。凄く楽しい〜とか感動した〜とか、そんなんじゃなくて、特に印象的なデキゴトがある訳じゃなくて、とにかくパーティの間中興奮しまくりで、テンションがとめどもなく上がり続け脳天から蒸気機関車のごとく吹き上げて疾走している感じ。年間240日程度パーティを繰り返している、万年ハレの日なYELLOWにおいても12月31日は唯一無二な特異日なのです。
それは、そうしようと試みてなったのではなく、繰り返しカウントダウン・パーティを開催してる内に、おのずと出来上がってきたスタイルと雰囲気。
カウントダウンをイエローで迎えたこと、ありますか?割りにYELLOW常連さんでも大晦日は行ったことないよーって方多いと思います。反対に大晦日とかハロウィンとかしか行かないって方も多いように感じます。
12月31日。大晦日にしか出現しない、YELLOWのあの雰囲気の不思議。なんなんでしょうね、あの興奮は。毎年、元旦は喉がつぶれて声も出ないし。疲れたを通り越して、なんかもー皮1枚で存在してるような、中身が全部抜けちゃったような「終わってる」状態。なのに妙に清々しい、あの感じ。今まで考えてみたことも無かったですが、よくよく尋常じゃない。
大分気が早い話ですが2005年12月31日はYELLOWにとって15回目となるカウントダウンなのです。なんかキリもいいし、大晦日の状態をつぶさに振り返ってみる気になりました。年間240日×13年=3120日。どんぶり勘定で3120回程度も繰り返されてきたYELLOWのパーティの中において、たった14回だけ存在した特別な空気の謎。0.45%の真相に迫る!
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年も押し迫ると、連日連夜パーティパーティ。ビッグ・ネームがそこかしこにドカドカ出演しまくりで、パーティ好きは日毎のクラブサーキットを余儀なくされ28日くらいにはズタボロ。スタッフである我々も他店のアニバーサリーにご挨拶に行ったり、YELLOWのアニバーサリーがあったり、イベントや大物の出演が相次いだり、気になる出演者が他会場であって駆けつけたりで、28日くらいに一度「限界かも」と感じます。
でも、そこからが正念場。
クリスマス以降は超大物の単独公演が必ずあるものです。単独公演の場合、やはり真剣にDJと向き合い、深く踊りますからサウンドジャーニーをこよなく愛するタイプのクラブラヴァースにとっては非常に重要な「踊り納め」の感あり。
対してコミュニケーションをこよなく愛するタイプのクラブラヴァースにとって、なくてはならない「パーティ納め」となるのが、なんと言っても大晦日!!
そして、何れにも属さない「弾ける瞬間を渇望する」オーディエンスが、時として集合する場であるというのも、またクラブの真実。
楽しそうかなと思って…とか、じっくり踊りたいとか、アーティストに興味あったんで…といった、YELLOW的クラブラヴァースの「いつもの気分」が12月31日は払拭され、エントランスから流れ込んでくるのは「今日はめちゃくちゃに騒ぎたい壊れたい。間違いなく燃え尽きたい」という、もの凄い期待と気合。
だからもースタッフもオープン前はピリッピリですよ。期待の対象にYELLOWを選んでくれたことが、本当に嬉しいし、気合に応えたいし、参りました!って言って欲しいじゃないですか。
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28日前後になるとYELLOWビル玄関にゴージャスな門松が立ちます。あれはYELLOWが立ててるんじゃないよ〜。ビルのオーナーの心意気なんです。縁起物を壊しちゃいけないってんで、毎年ソウトウ気を使うんですよアレ。あの緊張感が「ああ年の瀬」って気分を高めます。それからお正月期間を持ち越す釣り銭の確保。これもまた年末や連休の風物詩です。目測を誤って足りなかったりすると、そりゃもう大パニックを呼びます。
30日のパーティ終了後、店内を念入りにお掃除します。ポスター等の張り物も一時撤去して1年の節目にふさわしくスッキリさせます。スツールやテーブルの配置もカウントダウン仕様に。少しでも動線をスッキリと。グラスは並の個数じゃおいつかないので予備を補充。製氷器もおっつかないので、氷の作り置きも準備。BOOTHのテクニカル・スタッフ陣は年末の連日に渡るパーティで、すっかりヘタリ気味のサウンドシステムを細かくメンテナンス。照明器具も総点検。このメンテは時に大晦日のオープン間際まで不断で続くこともあるのです。
そして迎える大晦日。
早朝、樽酒が搬入されます。だいたい前日までで在庫のドリンクがスッカラカンになっているので、お水やビールの搬入も甚大です。ペーパータオルとトイレットペーパーも大量に届くし、煙草屋さんも自販機を満タンにしていってくれます。発注してあったクラッカーや風船が揃うのもこの時間です。そして業者のおじさんと「今年も暮れるねえ。来年もよろしくねえ。良いお年を〜」なんつって午前中は、ほのぼのとした大晦日モード。
お昼を過ぎると、店内装飾担当スタッフが「おはよおございますう…」とカゲロウの様に出勤してきます。通常の出勤は夜ですから、彼らにとっては7時間以上早い出勤だったりして、なかなかお疲れなご様子。そして、その年のテーマに沿った装飾がはじまります。静かなダンスフロアに「ウィーン!シューウ…ウィーン!シューウ…」と風船を脹らませる音だけが響きます。早出スタッフはTALKする気力もないようで無言の行。
日暮れ時になるとヘルパーも増えて、だんだん店内が引き締まった感じに変化。各ポジションの責任者が、いつもよりずーっと早くお店に現れ、セッティングの不備がないかチェック。だいたい不備があるので買い出し隊が編成されたりして慌ただしくなってきます。サウンドチェックも始まり、それまでの静寂を破って轟音が響き始めると、もう誰も笑わないし、くつろがない。張りつめた空気。お問い合わせ電話も、ひっきりなしになってきて。だんだん皆の足音・ドアの開閉音・声ともに大きく荒々しい感じに。
オープン2時間前にはスタッフが全出勤。1時間半前に招集がかかり、作業の手を一旦止めてスタッフ全員集合最終ミーティング。なんつっても全てのポジションで同時に「新年あけましておめでとう!」ってやるわけですから、みんなで時計あわせもやっちゃいます。ほっと一息タイムも兼ねており、誰も彼もが煙草をふかしはじめてバーはモックモク。Tシャツやタオルが配られたり、年越しそば食べたり、スタミナドリンク一気したり…その時々の店長さんのスタイルでミーティングを締めて、各々焦って自分のポジションに戻り作業続行。
むちゃくちゃテンパリますね、この時間。もう外には行列出来てるし。準備が間に合わなかったら人生終わる位のイキオイで追いつめられています。 (何で?って感じよね)
特に24時迄は怒濤の行列が続く故に、息付く間もないキャッシャー係は、緊張もはげしい様で競技前のアスリートの如く精神集中に入ります。
オープン5分前。サウンド・チェック音が消え、キャッシャー前階段までお客様に入っていただきます。それぞれの持ち場の準備も終わって、ふと静かな時間が短い間流れます。
再びダンスフロアから轟音が始まり、店内の照明が暗くなって、持ち場の内線が「ぷー」と鳴ると、内線を取ったスタッフから「オープンでーす」「オープンしました」「はいオープンです!」と色々な所から声が聞こえます。まあ、だいたい装飾や裏方準備チームはこんな時「まじで〜(泣)まだ終わってないっすー」と隠し部屋でアセアセしてたりするもんです。
この内線音とオープン確認の声でスイッチが入るのでしょうか。それまで慌ただしいなりに、COOLだった空気が瞬間湯沸かし器を通ったように、一気に沸騰。カゲロウ状態であったスタッフはトイレの100Wみたいにビカーーっと点灯、キャッシャーは新聞輪転機のごとくバリバリ処理を開始、バーでは市場の競りの如く声が上がり始めます。だいたいオープン時ってのは、マッタりとゆるいのが日常。お客様も人影まばら故にちょっと恥ずかし気ってのが相場です。ところが大晦日は違う。入店を済まされたお客様はテキパキと1名が一直線にロッカー捕獲に走り、相棒が速やかにバーで全ドリンクチケット分の水をGET。そしてロッカーに余分な水をデポジット。次ぎにダンスフロアに行きやすいポジションの椅子を確保。最後は交互にお手洗いへ。鮮やかなチーム・プレイが際だちます。オープン時狙いでお越しになるチームは完璧なるカウントダウンパーティへの計画が綿密です。また、水デポをしない24時完全燃焼狙いのチームは入店後、即ダンスフロアで全力疾走を開始。
23時前にはロッカーが塞がりクロークがオープン。23時半になると、バーでガソリン給油中だった機関車が続々とダンスフロアへ入り始めます。ぽっぽー!たまに前準備が過ぎて早々沈没してしまう人も居たり…。この頃から気炎を上げていたスタッフ達が少しナーヴァスに変わります。24時の瞬間をバッチリ決めて演出できるか緊張が走るのです。これまでのスタッフのテンションの高さは「さあ!今年最後の一日、疲れてる場合じゃない!あげてこー!!」っていう意志に基づいたものなので、緊張するとテンションは容易に下がります。要するにまだ普通の状態ってことです。
そして10分前。キャッシャーのスピードは、その年最高の速度を記録し、ダンスフロアは限界まで密集、バーではShotgunのグラスがカウンターにずらりと並べられ、樽酒は鏡割りスタンバイに入り、エントランスの行列からは「だから早く出ようって言ったじゃん!」というカップルの喧嘩声が漏れてくるのもお約束。急ぐ余り、階段から滑り落ちる人も少なくありません。こうなってくるクロークに並ぶ人は殆ど居ないので、先ほどの大行列は嘘の様に消える狙い目タイムだったりもします。Dランドのパレード時間みたいなものです。
2004年最後にイエローのダンスフロアに流れたのはSOUL CENTRAL「STRINGS OF LIFE」。盛り上がらない訳はないですね。思いおこせば2004年最初の1曲目はこの曲だったかも!?確かに2004年のスーパー・ヒット・チューンと言えばこの曲以外には考えられません。最近ではKATHY BROWNのヴォーカル付きまでリリースされちゃって、まだまだヘヴィ・プレイは続きそうな気配。カウントダウン前のはち切れそうな期待をばっちり盛り上げるEMMA氏のDJ手腕に惚れ惚れしました。
3分前。皆さん年越しを迎えるポジションを得て、民族大移動がピタリと止まります。YELLOWはフロアが入り組んでいるので、各ポジションで当時多発的にカウントダウンの演出があるのです。なにも起こらないのはトイレくらいのものでしょうか。 24時の演出は年ごとに趣向様々。
| 大晦日のあゆみ |
★1991→1992
DJ: VICTOR ROSADO LIVE: Ultra Nate
オープンしてすぐの大晦日、インビテーション・オンリーのレセプションに登場したふたりで再び競演。も〜N.Y.かと勘違いしちゃうような異次元な空気が充満しシャンパンがポンポンッと開きまくりでした
★1992→1993
DJ: VICTOR ROSADO+DJ K.U.D.O.+U.F.O.+DORAGON
今見ると、なんて豪華な顔合わせ!今日日の大御所もあの頃はパリパリの若手だったんです
★1993→1994
DJ/LIVE/PERFORMANCE: YELLOW ALL STARS
クラブ界大忘年会的パーティを究めた一夜。当時はまだクラブが少なかったので、とんでもない行列と混雑に誰もがむやみと興奮
★1994→1995
DJ/LIVE/PERFORMANCE: YELLOW ALL STARS
樽酒のみ放題スタート!振袖をきたキレイドコロ数名で皆様をおもてなし!パーティスタイルに「和」を織り交ぜてみる試みがはじまった大晦日
★1995→1996
DJ: VICTOR ROSADO+DJ/LIVE/PERFORMANCE: YELLOW ALL STARS
クラブが大増加した頃だったので、大晦日の裏通りはクラブを渡り歩く人々で朝の新宿駅コンコースみたいになっていました。この頃から「おっはー!あけおめー」現象勃発
★1996→1997
DJ: VICTOR ROSADO
なぜか男性スタッフ全員坊主でのぞんだ大晦日。年明けと共にダンスフロアが埋まるほどの風船が降り、バズーカでキラキラの雨が降り嬌声の嵐!NANO奥の占い師コーナーが大人気。お正月FOODサーヴィス元年。バランスがばっちりハマって究極にアット・ホーム的ビューティフルな大晦日
★1997→1998
クラブのカウントダウンも結構一般的となってきたので、あらたなチャレンジ。YELLOWはお休みしてラフォーレ飯倉で開催していたビッグ・イベント"Club Accutron"に参加
★1998→1999
DJ: DAVID DEPINO LIVE: GENTA with JIVE JAMBOREE
カウントダウン前にYELLOW前の路上で太鼓パフォーマンスがゲリラ的に始まってしまい、西麻布町会大騒動!!すみませんでした…年明けと共に太鼓に酒を注いで乱打する「太鼓酒」がステージで炸裂。キャッシャーにドリンクチケットが中身のくす玉出現(でもちゃんと割れなかったんですけどね)。ドリンクチケットに気づく人気づかぬ人悲喜こもごも。まあ、そういった些細なイタズラを毎年誰かが仕掛けますので、お越しの際は宝探ししてみてください
★1999→2000
DJ: 大沢伸一+田中知之 LIVE: BIRD
「Y2K(憶えてます?)でパーティ中に電気止まったらどうしよーねー」とか言ってましたね。シークレットライブでBirdが登場し店内騒然。危険なほどにパーティだった一夜。DJで出演予定だった沖野修也氏、一身上の都合から渡航先のN.Y.より帰国が遅れて出演叶わず。夢の三競演は夢のままに…
★2000→2001
DJ: FRED PIERCE+OKINO LOUNGE by 沖野修也 PERFORMANCE: LEONARD ETO
レナード衛東さんの太鼓がもの凄すぎて、秒読みと時報が全く聞こえず興奮怒濤のうちに気づけば年明け10分経過。みんなでトランスしちゃって、なんだかよくわからない内に21世紀に突入。和太鼓って凄まじい。
「去年の大晦日、ほんっとに申し訳ないと思ってるし。償わしてよー!ノーギャラで一晩中ラウンジやる!!」という沖野さんの義理堅くもありえない程嬉しいお申し出に「まじでいいんですか」と調子こいてラウンジをノーギャラで(ほんとかよ?ほんとだよ)お願いしてしまいました。ラウンジの雰囲気、サイコウのパーティグルーヴ…で、DJ終わって沖野氏ヒトコト「生涯最高のDJやったぞ今日は。俺、今日はやった。酒もよう呑まんかったよ。さあ!呑むぞ!!!」聴けた人ラッキー!!!ミレニアムマジックですね
★2001→2002
DJ: EMMA LIVE: JOCELYN BROWN
またこれがもーめっちゃ夢だったカードなわけで!待望のアーティストでお届けした大晦日。この年11月に渋谷のThe Cave跡地にClub Moduleが誕生したのでカウントダウンをリンク形式で開催
★2002→2003
DJ: JEROME SYDENHAM
この年Ibadan RecordsよりYELLOWのサウンドをイメージしたコンピレーション12インチシリーズ「Phase」が誕生し、年末に「Phase」音源をJEROMEがDJ MIXしたCD「LIVE」が登場。それを記念してリリース・パーティとカウントダウンを同時開催
★2003→2004/2004→2005
DJ: EMMA
「COUNTDOUN TO 2002」でのDJ PLAYが素晴らしく、これぞYELLOW的大晦日サウンド!!!ということで懇願哀願してEMMA氏に再登場していただいたいた2003年、やっぱし素敵だったので2004年も口説きまくり。と、いうことで2年連続「COUNTDOUN WITH EMMA」が実現したのでした
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| MOVIES |
今年最初にDJ EMMAがプレイしたのはERIC PRYDZ「CALL ON ME」
オープンからラストまでパワー溢れるプレイを聴かせてくれたEMMA氏のエネルギッシュな横顔がりりしい |
ギュウ詰めのダンスフロアが一丸となって跳ねる!!天井から下がるは午前零時のキラキラ大砲の名残り
4月の"EMMAHOUSE 11" RELEASE PARTYもやばそうですね |
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記録に残っているのは出演者のお名前ですが、記憶にのこっているのは様々な断片的光景。
壊れる意気込み満々で続々と集結するクラブラヴァースと繰り広げた激しい攻防が脳裏によみがえります。
カウントダウンを無事乗り越えると、オーディエンスもスタッフも何かリミッターの様なものががブッツリ切れるようで、レッド・ソーンに振り切った状態のまま、その場にいる者全員が「おめでとー」「ことよろー」「アハッピーニューイヤ!」と汽笛を挙げまくる止まれない蒸気機関車に陥ってしまうのです。もう、こうなったらDJのスピンが止まるまで、もしくは身体のエネルギーを使い切るまで催眠術にかかったようなものです。 たかが1秒の為に、入念に計画し、必死で準備し、気合い入れて外出し、その分期待して望む「その瞬間」を燃焼しきれた達成感、よっしゃ!きまったあああああああー!!!っていうたぐいのコウフンが催眠状態を誘発。
YELLOWには、いつの頃から始まったのか年男年女のスタッフが干支の着グルミをきなければならないという謎のオキテがありまして、もちろん着グルミスタッフ達は皆々様の酒の肴として扱われます。年明けの瞬間にパフォーマンスを披露することもあります。
亥年は吹き抜けからロープを滑り降りて猪男が颯爽と現れるはずが、ロープが荒縄だった為に両手血みどろ、もんどりうっての年明け宣言でありました。
丑年では牛男が大量発生、突如バーカウンター上でギターをひき語りまくるという熱血年明けパフォーマンスを繰り広げる一頭も出現。
卯年は顔を白塗りにし、バニーガールに扮した年男スタッフが、入り口で外国人のお客様ともめ事になった際に、その扮装のまま「これが僕のお店のルールですからご理解ください」と真剣に説得したところ、「チッガーウ!アナタノミセジャナーイ!」と一笑に伏され…恥ずかしー!!!と、まあ、そんな感じで例年、年男伝説が築かれてゆくのです。2005年は酉年ということで、入り口ではひよこがお出迎え、振舞酒はニワトリがお酌しておりました。
「樽酒飲み放題」これも恒例行事のヒトツ。日本酒はあんまり…というクラブラヴァースが大多数で、はじめは「まあまあ縁起物だし!」とかなんとか調子こいてるお酌専スタッフに振舞われて、お愛想で召し上がってくださる方がほとんど。ところが飲むと旨いんだな〜樽酒。うっそー!って思うくらい美味。で、最初は可愛く断っていた美女も1時間もすると「おさっけちょうだあ〜い♪ついでついで!!」と樽酒の周りには人だかりが…。日本酒が美肌効果があるってのは本当らしく、お酌係に着任すると元旦には柄杓をもっている右手だけが立ち昇る酒気によりシットリスベスベになります。この、「立ち昇る酒気」はくせ者で、飲まなくてもパーティの間中風呂桶ほどもある樽の脇でお酌しているとベロンベロンになってしまうのです。後半にはお酌専スタッフが見ず知らずのお客様と、とんちんかんにして熱い語りを入れ合ってたりするのはアリガチな光景です。
差し入れのオムスビやドーナツなども沢山頂戴し、「おめでとう」を合い言葉に誰もが入り乱れて仲良く分け合って美味しく頂戴します。エレベーターホールで野生動物のように丸まって深い眠りをむさぼる人も続出。YELLOWの複雑な構造に迷子になる人も多数出現。でも「ま、いっか!のものもう〜」と迷子は樽酒の前に漂着し、そこにはおのずと居酒屋風情がかもしだされていきます。そう、エントランス周りは音楽が聞こえないので語り合うには良い場所なのです。寒さ故に身を寄せ合う感じになり、より親密さが生まれるのもポイントです。他会場からのサーキット族もちらほら出始め情報交換が行われるのも、この場所が多いようです。エントランス担当スタッフも落ち着き始めるので、時には七輪でイカをあぶり出したりします。そこかしこカウントダウン時の紙吹雪やクラッカーや風船でごちゃごちゃです。こうなってくると、もう訳が判りません。その間もサウンドジャーニーはダンスフロアで続けられおり、嬌声と興奮の絶えることはないのです。
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オープン前は立つのもシンドイ位に疲労していたはずのスタッフ達も催眠術にかかって全開疾走しているうちに時は飛ぶように流れ、気づけば閉店の時間に。開店時に40℃の熱があったのに、すてばちテンションで立ち働く内に熱が下がっていたという逸話をもつスタッフもいます(現役で活躍中)。あんなにパンパンだった店内は照明が明目になり、人影まばらな和みムード。沈没していた野生動物たちも知らぬ間に仲間に捕獲されて帰路についたようで、床に残るはお水の空ボトルと吸い殻と紙吹雪の山だけ。
興奮が冷めたあとの、筆舌に尽くしがたい脱力感と戦いながら掃除が始まります。モップや自在ボウキの柄にすがるようにして床を清め、こってり施した装飾を外しにかかります。もう、こうなったら「頑張れオレ」「しっかりアタシ」とつぶやきながら作業するしかありません。誰もテキパキ動けません。夢の中で走っているときのように、全てがままならず、もどかしい状態です。
この時間に「あけましておめでとー」とやってくる人たちが居ます。プロモーターさんや他店のスタッフやDJ衆。皆さん別会場で一仕事終えて、帰宅前に顔を出してくれるのです。
どうにかこうにか取りあえずの後片づけが済むと、さきほど到着した皆さんとなんとなーくBARでダラダラとお疲れの一杯が始まります。パーティの間中、目が合えばカンパイカンパイと繰り返してきたスタッフ達ですが、この場でしみじみ「おつかれっす」と傾ける1杯が、実は1年を締めくくる(年は明けてますが)乾杯だったりします。やがて金杯予想を始める組、はらへった何かくわねえ?組、初詣いこう組、酔いすぎで終了組と色々ですが、いずれも腰が上がりません。名残惜しいのとは違うのです。動きたくても下半身が泥になっちゃって動こうにも動けないのが正直な所。ここで超驚いたことに、静寂を破ってダンスフロアから爆音ダンストラックが再び流れ始めます。BOOTHのテクニカル・スタッフが、またもや機材のメンテナンスを始めるのです!!!恐るべしサウンドへの愛。こうして暴力的な使用状況の中でもYELLOWのSOUND+LIGHTING SYSTEMは生きながらえているのでした。脱帽。
やがて「お疲れの一杯」が効いてきて歩行意欲も生まれます。まさに「アルコールはガソリン」と実感する瞬間です。
YELLOWを施錠し、三々五々…のはずが、大体揃ってファミレスに流れて栄養補給がおおむねの定番。中には「オワる前に帰宅せねば」と一目散に帰路をたどるスタッフも。それが裏目に出て電車で爆睡してしまい始発(神奈川県)と終点(千葉県)を行ったり来たり、午後まで家にたどり着けなかった…などという逸話も残っています。モウロウと移動していたら電柱にぶつかって元旦から入院という強者もいました。魂抜け気味の時の移動は危険なので自重したものです。しかしやはり元日を人並みに過ごしたいという欲望が帰宅に駆り立てるのでしょう。どんなに壊れた大晦日を過ごしても、心はやっぱり日本人。
全員がスローモーション思考に陥っているので、うっかりするとファミレスに4時間居たりもしますが、やがて芝の増上寺に移動。時間が中途半端なので、さしもの大伽藍も閑散として冬枯れの風情。ボチボチとした初詣が恒例。ファミレスに長居すると、にぎにぎしい元旦勤行を体験できたり(寒いので御坊様が順にくしゃみをしまくるのが妙に侘びしい)、もっと長居すると屋台がでるのでまた食べちゃったり。増上寺のモツ煮込みは美味しいです。機会があればどうぞ。
日が昇ってくると元旦の東京の空は、たいがい抜けるような快晴。芝生に寝そべり空を見上げて呆ける一同。東京一人暮らしスタッフは、にわかに元旦独りが淋しくなって、またまた動けないモードに入ります。家族持ちは、そそくさと帰ると独りチームの寂しさを煽りますから、さりげない退場を心がけます。
抹香漂う枯れ芝生の上で、玉砂利を歩く音と小鳥のさえずりを聞きながら転がっていると、昨夜の耳鳴りがヒドク残っていたり、大変に自分が煙草臭く酒臭いことを認識します。この時ニワカに「家に帰ろう!」と思うのです。風呂に入りたくなるのですね。少し、心身を支配していた夢現感が瓦解しはじめた証拠です。
ようやく帰宅。ここで風呂を沸かしたまま寝てしまう、風呂に浸かりながらで寝てしまうという最後のトラップが待ち受けているのですが、見事入浴をクリアした時、あの「皮1枚で存在してるような、中身が全部抜けちゃったような、でも妙に清々しい」状態が訪れるのです!!!!!気分はとってもクリスタル製ワイングラス。指ではじいたらコーン♪と良い音がしそうなイキオイで澄み切っています。これこそクラブに生きとし生ける者にとって極上の正月気分。大晦日から頭にかかっていた猛烈な水蒸気のモヤが冷やされ綺麗サッパリふき取られた、この瞬間こそ正に「ああ、新年明けましておめでとう」と実感する時なのです。
「0.45%しか存在しない特異な一夜」の真相は「一斉に」が鍵なのではないかな。
オーディエンスもスタッフもアーティストも「たかが1秒」の為に躍起になって大晦日を費やし、ついに迎えるカウントダウン。オーディエンスは望み通りの「その瞬間にふさわしい興奮」を得られたことで、スタッフとアーティストは任務を果たした安堵と「これで怒濤の年末が終わる」というランナーズハイで、アドレナリン水蒸気が「ぶっしゅ〜〜〜〜〜」と会場に居る全ての人々から一斉に吹き出す!吹き出した水蒸気で頭の中がモックモクになって集団催眠状態になだれ込む。
いつものYELLOW、いつものパーティだと、それぞれが個々に「ぷっしゅ!」と、なってる訳です。
大晦日特有の尋常ならざる雰囲気は、「1月1日午前零時」という、唯一のキーワードにより1000人級の人々から「一斉に」アドレナリン水蒸気が噴出するところに秘密があったのだ。
夜遊び好きなら1回くらい、「たかが1秒」にこだわって、思い通りの興奮をGETし、その達成感で稀なる集団催眠術にかかってみませんか。
お洒落に夜遊び、ライフスタイルで夜遊び、自己確認で夜遊び、単純に夜遊び、自暴自棄で夜遊び、夜遊びは色々あるけれど、「大晦日→元旦」という暦の最重要節目にだけ起こりうる、正に非日常的なトランスは「夜遊び」の素敵で怖いカタルシスを教えてくれます。なんかもー百八つの煩悩が全部スチーム・クリーナーでピカピカに除去される気分よ。
ただし、斜めに構えて「午前零時」に臨む様では催眠術にはかかれません。ただの混雑イベントでカウントダウンパーティは楽しくも何ともないでしょう。1年の内で一番退屈なパーティになってしまうかも。
愚かなほどに全力で「たかが1秒」に必死になる。それが大切。愚者のみぞ知る昇華!!すごいですよ…
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